シェル、 “Energy Transition Strategy 2024”を公表
2050年までに、シェルのすべての事業とエネルギー製品からの炭素排出量を実質ゼロにするという目標は、各事業に変革をもたらしています。この目標は、地球の気温上昇を産業革命前の水準から1.5°C以下に抑えるというパリ協定のより野心的な目標を支持するものです。シェルの戦略は、化石燃料から低炭素エネルギーソリューションへのバランスのとれた秩序ある移行を推進し、適正な価格のエネルギー安定供給を維持することに寄与します。
シェルの最高経営責任者(CEO)であるワエル・サワンは次のように述べています。「エネルギーは人類の発展に大きく貢献し、世界中の多くの人々がより豊かな生活を送ることができるようになりました。今日、世界は、気候変動という喫緊の課題に取り組む一方で、増大するエネルギー需要に対応しなければなりません。私は多くの国におけるエネルギー転換と急速な技術進展に勇気づけられるとともに、当社のエネルギー転換戦略の方向性に対する確信を深めています。シェルは、世界が必要とするエネルギーを供給し、未来の低炭素エネルギーシステムを構築する上で、非常に重要な役割を担っています。パフォーマンス、規律、簡素化に重点を置くことで、エネルギー転換の取組みのうち、当社の強みを最大限に活かし、投資家やお客さまに最大の価値を提供できる分野が明確になりつつあります。その分野に注力することで、気候変動に対する取組みの目標を達成する可能性を高められると信じています。世界が必要とするさまざまな種類のエネルギーを提供することで、私たちはエネルギー転換のパートナーとして、そして投資対象として選ばれる企業であると信じています」。
シェルのエネルギー転換における計画は、すべての事業を対象としています。液化天然ガス (LNG) はエネルギー転換において重要な燃料であり、シェルは世界をリードする低炭素なLNG事業を推進しています。石油生産を安定的に維持しながら石油・ガス生産からの排出量を削減し、ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料などの石油製品の販売を徐々に減らしながら、低炭素エネルギーソリューションの提供を拡大しています。世界最大級のエネルギー事業者として、石油・ガス事業で長年培ってきた経験を生かし、低炭素エネルギーの供給拡大に取り組んでまいります。
気候変動対策における目標の進捗は下記のとおりです。
- 2023年末までに、シェルの事業からの排出量を2016年と比較して2030年までに半減させるという目標の60%以上を達成しました。これは、COPで合意された石油・ガス脱炭素憲章(Oil and Gas Decarbonization Charter)の署名国が設定した目標を上回るものです。
- 当社は引き続き、メタン排出量の削減において業界をリードしていきます。シェルは2030年までにメタン排出量をほぼゼロにする目標を設定した最初の企業の一つでもあります。2023年には、原単位におけるメタン排出目標の0.2%を大幅に上回る0.05%を達成しました。また、2023年には世界銀行が立ち上げた「Global Flaring and Methane Reduction Fund」に貢献し、石油・ガス事業から排出されるメタン排出とフレアリングを削減するための業界全体の取組みを後押ししました。
- 2023年には、当社が販売するエネルギー製品の原単位での削減目標を達成し、2016年と比較して6.3%削減しました。シェルは、3年連続で目標を達成しています。
炭素排出量が実質ゼロとなるビジネスの構築にあたっては、当社に競争優位性があり、お客様のニーズが存在し、政府による明確な政策的支援が特定されている分野で先駆的な存在になることを目指しています。運輸部門の脱炭素化を推進するため、2030年までに石油製品の使用によるお客様の排出量を2021年と比較して15%から20%削減するという新たな目標も設定しました。(スコープ3、カテゴリ11)注2。
シェルがお客様に最も価値を付加できる分野へ注力することが、統合電力事業の戦略的な変革に繋がっています。オーストラリア、欧州、インド、米国などで再生可能エネルギーを含む電力事業を拡大する計画を進める一方、欧州では家庭向けの電力供給から撤退しました。
電力事業では、量よりも価値に重点を置く戦略に沿って、厳選した市場とセグメントに注力します。法人のお客様への電力販売を増やし、個人のお客様への電力販売を減らすことも含まれます。それに伴い、2030年までの電力販売の伸びは低下すると予想しており、これが原単位での排出量削減目標の更新につながっています。販売するエネルギー製品あたりの炭素原単位については、2030年までに20%削減する目標を掲げていましたが、新しい目標では15%-20%としています。
当社は、目標と野心的な取組みに対する進捗について、透明性を保ちながら、年次での報告を継続してまいります。
ネットゼロの未来に向けて
2023年から2025年末までに、低炭素エネルギーソリューションに100億ドルから150億ドルを投資する計画で、エネルギー転換の取組みにおける重要な投資家となっています。2023年には、低炭素ソリューションに、設備投資総額の23%以上に相当する56億ドルを投資しました。
これらの投資には、電気自動車の充電設備、バイオ燃料、再生可能電力、水素および二酸化炭素の回収・貯留(CCS)が含まれます。新技術への投資は、シェルとお客様の排出量削減に貢献しています。これらの新技術が、お客様にとって手の届く価格で検討可能な選択肢となるように普及・拡大の一助となることを目指しています。また、カーボンプライシングを含む、各国のネットゼロ目標達成を後押しする政策、世界が必要とするエネルギーの安定供給の確保、エネルギー需要の変化への対応、低炭素ソリューションの拡大など、エネルギー転換に不可欠と考える分野でのアドボカシー活動に注力してまいります。
注1:炭素排出量が実質ゼロとなるエネルギー製品やサービスの提供への転換を加速させるというシェルが2021年に公表した戦略。詳しくはこちらをご覧ください。
注 2 :当社の石油製品(スコープ3、カテゴリ11)の使用による2023年のお客様の排出量は、二酸化炭素換算で5億1700万トン、2021年が5億6900万トンでした。
※グローバルのプレスリリースはこちらをご覧ください。
※Shell Energy Transition Strategy 2024についての特設サイトはこちらをご覧ください。